毒の文化史
杉山 二郎・山崎 幹夫 著/学生社
1990年
「毒」とは何か。
食べられるか食べられないかを識別するための「毒」の意識はどこからきたか。
古代人は毒性植物トリカブトから毒矢を発明し、狩猟用具とし、さらに人と人との争いの武器として使用し始めた。
かつて呪術に頼るしかなかった疫病を食物連鎖の関係を追うことによって解明し、人は「毒」を克服した。
遊牧社会は自然毒を利用し進化させたが、農耕社会ではそれを薬として利用し始めた。
古代のキノコ毒、トリカブト、有毒鉱水、麻薬、インド大麻、毒ブドウ、サソリ、毒蛇、阿片、毒ガス、細菌戦、そして現代の先進科学産業が生み出した「毒」などと人との様々なかかわりの中で起きた数々の事件を追いながら、人類史上における毒の足跡を探り、もうひとつの人間の歴史を明らかにする。
第一章 毒との出会い
第二章 利用への展開
第三章 医療の黎明
第四章 毒文化―東西への伝播
第五章 ギリシア・ローマ世界と毒の流布
第六章 中近世―毒の万華鏡
第七章 室町・桃山―毒世界への遠近法
第八章 江戸の毒―そのグロテスク
第九章 近代―破滅への行進
第十章 生への回帰
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