煙草入れ 【 図版】

掛川市二の丸美術館 2006年

掛川市二の丸美術館に収められている、故木下満男氏寄贈のコレクションのひとつ、煙草入れの図版。

数ある煙草入れのうち、130点余りを抜粋し、紹介したもの。
(この木下コレクションは、江戸から明治にかけての煙草道具・印籠・刀装具・書画などが2,000点以上あり、なかでも煙草道具は秀逸な作品が数多く収集されています。)

単なる道具としての煙草入れがアクセサリー的装身具へと変化を遂げるのは、町人文化が台頭する江戸中期に入ってからのこと。庶民の間では個性的で斬新な趣向が求められ、当時の工芸技術の粋を集結させた煙草入れが登場します。
叺(かます)の部分は、金唐革、更紗、菖蒲革などあらゆる素材を生かし、形状や裁縫術においても諸々の技が施され、それぞれが芸術作品となっています。

その後着物から洋装へと変わり、紙巻煙草が普及し、さらには禁煙志向が高まる昨今では、ほとんど目にすることのないこのような煙草入れは大変貴重なものと言えます。

2,000 円